不審メールの報告文化をつくるには?社員の意識を高めるためのポイント
標的型攻撃メール訓練を実施されている企業の中には、「報告率」を指標としておられるケースも多いのではないでしょうか。その一方で、「報告率が上がらない」「不審メールが届いていても報告が集まらない」といった課題を感じている企業も少なくありません。
今回は、不審メールの報告文化を組織に定着させるために、押さえておきたい背景と、実践しやすい取り組みをご紹介します。
なぜ不審メールは報告されないのか

報告数が伸び悩んでいる場合、まず自社の現状を振り返り、「なぜ報告されないのか」という観点から整理することが大切です。主な要因には以下のような点が挙げられます。
不審なメールに気付いていない
不審なメールが届いていても「怪しい」と認識できていないケースは少なくありません。近年は特にメールの件名や本文が巧妙化しており、フィッシングと気付かれずに見過ごされるリスクが高まっています。
「自分に関係なさそうだからスルーしている状態」の場合は、メールの内容によっては疑うことなくリンクをクリックしてしまったり、認証情報を入力してしまったりする可能性も否定できません。
報告しても反応がない
報告後にフィードバックがない状態が続くと、報告者は「報告したけど意味があったのかわからない」と感じるのではないでしょうか。報告の意義や効果を報告者が感じられないと、「また報告しよう」という意欲が生まれにくくなる可能性があります。
業務が忙しい
日々の業務に追われる中で、「後でやろう」と考え、そのまま忘れてしまうケースも多いようです。特に、報告手順が煩雑であったり、報告経路が負担に感じたりする場合に、この傾向は強まります。報告が後回しにされることで初動対応が遅れ、その間に同様の攻撃メールが他の社員にも届いてしまう可能性があります。
報告方法がわからない
どこに・どのように報告すればよいかを予め知っていないと、行動に移すことができません。特に新入社員や異動直後の社員は迷いやすいポイントです。
報告してもらうためのカギは「報告したくなる環境づくり」
「報告してください」と周知するだけでは継続的な報告行動につなげることは難しいのが実情です。重要なのは、社員が「自然と報告できる」「報告したくなる」環境を整えることです。
- 迷わない(方法が明確である)
- 負担が少ない(手間がかからない)
- 意義を感じられる(役に立っていると実感できる)
これらを踏まえた環境設計が、報告文化の定着に大きく影響します。
不審メールの報告文化を作るための実践ポイント

ここからは、現場で取り入れやすい具体的な施策をご紹介します。
報告方法を「すぐ確認できる状態」にする
報告手順は、必要なときにすぐに確認できる状態にしておくことが重要です。
例えば、
- 社内ポータルのトップページ
- オフィス内の掲示物
- TeamsやSlackの固定投稿
- 社員証裏への報告先カードの挿入
などが挙げられます。
「探さなくても目に入る」状態にすることで、報告行動のハードルを大きく下げられます。
部署単位での意識づけを行う
全社一律で伝えるのではなく、部署ごとの取り組みも有効です。
- 部門長からのアナウンス
- 定例会でのリマインド
- 部署単位での目標設定
など、現場単位での働きかけにより、「自分ごと」として捉えやすくなります。
最新のフィッシング事例を共有する
実在する攻撃事例を共有することで、社員の危機意識を高めることができます。
「今このようなメールが流行しています」
「同様のメールを受け取った場合は報告してください」
といった情報発信は、注意喚起だけでなく報告行動のきっかけにもなります
報告へのフィードバックと感謝を伝える
報告されたら、できるだけ迅速に反応しましょう。
- 「報告ありがとうございます」と明確に伝える
- 必要に応じて簡潔なフィードバックを添える
この積み重ねが、「報告してよかった」という体験につながります。報告が多いと負担かもしれませんが、報告数が少ないうちはこの方法をこまめに繰り返すことが有効です。
報告件数が増えてきた場合には、定期的に報告件数や感謝を共有することも効果的です。
報告内容を全社に共有し、価値を可視化する
報告があった場合に、全社に展開することで、報告の価値を見える化できます。
「本日このような不審メールの報告がありました」
「同様のメールに注意してください」
といった通知で、報告者の貢献が組織全体に波及するとともに、他の社員の警戒心を向上させたり、自分も報告しよう、という気持ちが芽生える効果が期待できます。
メール訓練結果を可視化し共有する
施策の効果を把握するためには、報告率などの指標を定量的に確認することが重要です。数値として把握することで、現状と課題が明確になり、次の改善につなげやすくなります。
また、訓練結果は必ずフィードバックしましょう。全社の報告率、良かった点・課題、今後の対策などをフィードバックすることで、社員の理解と関心を高め、次回の行動に結び付けることができます。
部署別に集計し、対策を最適化する
部署ごとの傾向を分析することで、より精度の高い対策が可能になります。例えば、以下のような対応が挙げられます。
- 報告率の高い部署 → 良い事例として共有
- 低い部署 → 重点フォロー
組織内のばらつきを可視化することが、全体最適を実現するための第一歩となります。
まとめ
不審メールの報告文化の醸成は、社員の意識だけに依存するものではなく、環境設計と運用によって大きく改善できます。報告しやすく、報告する意義を実感できる環境を整えることで、自然と報告が行われる状態へと近づいていきます。継続的な取り組みで、組織全体のセキュリティレベルを向上させましょう。
Selphishの不審メール報告機能
Selphishが提供する「不審メール報告機能」は、Microsoft 365のOutlookおよびGoogle WorkspaceのGmailに対応しており、簡単な設定でメール環境に不審メール報告ボタンを追加できます。
ユーザーは、受信した不審なメールを簡単に管理者に報告できます。報告された不審なメールはSelphishの管理画面で一元管理できるため、攻撃手法を把握して組織内に注意喚起したり、個別の対応状況を管理したりできます。
Selphishでメール訓練を実施し、従業員に本機能を用いて報告してもらうことで、報告状況や報告率を確認できます。継続的に分析することで、訓練や教育の効果、報告ルールの徹底など、組織のセキュリティ意識を評価できます。
ご活用いただき、報告の習慣と、不審メールの脅威に対する対策の強化にお役立ていただければ幸いです。